佐藤賢一著『英仏百年戦争』感想

2012年10月15日

 

タイトル:英仏百年戦争 (集英社新書)

直木賞作家佐藤賢一著。
英仏百年戦争とは何か。そもそも本当に100年の戦争だったのか
百年戦争の原因をノルマンコンクェストから掘り下げて解説してくれている歴史本。

佐藤賢一先生といえば、直木賞作家で、
この時代のイギリス史、フランス史が好きな方は素通りできない人です。
宝塚宙組のトップが和央ようかさんだったころ、佐藤賢一原作『傭兵ピエール』が上演され、
感動して10回も見に行った記憶があります。

この方は小説家だけでなく、東北大学大学院後期までいった西洋史のエキスパートで、
歴史学の教授とは違った視点で、歴史を解説してくれる、面白い本でした。

百年戦争は、ジャンヌダルクらの活躍によって、フランス勝利、イギリスが負けて終了すると
教科書には書いてあります。
しかし、平均的なイギリス人に百年戦争のことを聞くと
百年戦争はイギリスの勝利で終わった」と答えるそうです。

この差はなんででしょうか?
ココから著者は面白い説明をしています。
イギリス人の精神に深く影響力をもつ
シェイクスピアに起因しているというのです。
シェイクスピアはご存知のとおり、歴史モノの劇も数多く手がけています。
この時代のものだとヘンリー4世とか、ヘンリー5世とか。
これらの作品を読むと、なぜイギリス人が「百年戦争はイギリスの勝利で終わった」と思い込んでいるのか
わかってくる。。。なるほど。

歴史嫌いな人が、歴史の本を読んでいると
ノルマンディ公ウィリアムと書いてあったり、ノルマンディ公ギョームと書いてあったり、
統一化されていなくって、ナンだよこれ!!とイラついたり、別人と思いこむ人も居るかもしれません。

歴史の先生は、知っていること前提に本を書くのですよね。

それに対し、佐藤賢一先生はノルマンディ公ウィリアムとギョームなどの読み方二重表記で書いてくれる親切さ。
ギョームくらいは知っていましたが、
スティーブン王、フランスでエチエンヌだったとは知らなかった・・・

コチラの本、英仏百年戦争に関する前置きが長いのですが、
なぜあの戦争が起きたのか知るには
イギリスとフランスの微妙な封建関係とかを理解しなければならない。。。
そこのところを丁寧に書いてくれているので、
西欧中世史を勉強する前段階に読めば
小難しい概説書などが少しは楽に読めるかと思います

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