文学部出身OL Akiの「社会人になってから読んだ本の記録」

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キリスト教史 西洋哲学

アウグスティヌス 記憶論

投稿日:2017年10月25日 更新日:

アウグスティヌス 記憶論のレポートのつづきです

 


3、想起

記憶によって内部に保管されたものは、想起によって確認される。しかし、いつでもすべてを想起するということはできない。「かつて恐れたことを恐怖なしに思い出し、以前の欲望を欲望なしに記録している。[ii]」とアウグスティヌスは『告白』の中で述べているように、人間を構成する身体と精神は別のものであるから、過去の身体的苦痛という体験を記憶の棚から想起するとき、それが喜びをもって想起されることがあっても驚きではないと考えた。

しかし、精神の場合、心それ自体が記憶なので、過去の悲しみを、喜びをもって記憶するときに、心では喜んでいるのに、記憶には悲しみとして存在するのはどういうわけなのか、記憶は心には属しないのかという疑問を投げかけている。アウグスティヌスのいう想起は刻みこまれ、保存された内容をただ想起することではなく、そこに省察が伴う。想起によって過去の経験と現在化にゆがみが生じる。

4.忘却の記憶

記憶の深層の中には忘却の記憶も含まれる。アウグスティヌスは、「忘却は記憶の欠如でなくて何であろうか。[iii]」といいつつ、「なくした銀貨を探す女」でたとえて説明しているように、忘れてしまった記憶の残っていないものを探すということが起こりえるのか、忘れたというのを覚えているというのは、ありうるのかという問題を考察し、完全な忘却のほかに、忘却を記憶し、想起する「忘却の記憶」も存在するとアウグスティヌスは考えている。忘却は記憶の欠如ではなく、忘却の記憶であり、忘れたと記憶している限りは完全には忘却に至っていないと考えた。

5、幸福論

アウグスティヌスは忘却論から幸福論へと視点を変えて神の場所を探求していく。人間は幸福を求めるが、なぜ、すべての人間が、経験で得たことのない幸福を求めするのか、経験がないはずなのに、その存在を知っているのかという疑問へと疑問を膨らませていったアウグスティヌスは、忘却の記憶の例を幸福にたとえ、幸福とは何か、幸福な生活というものがどのようなものかは知らないが、人間の深層心理において幸福の概念のようなものが存在しているのだとアウグスティヌスは『告白』において述べている。

アウグスティヌスは、経験の有無とは関係なしに、すべての人間が幸福願望の記憶を持っているとした。では、幸福な生活をどこで知ったのか、幸福な生活が記憶のうちにあるならば、人間はかつて幸福であったのであろうか、幸福の在り方は違えど、人間は幸福な生活を欲するという点で共通している、幸福を求める人間の深層心理の謎について考えを進めた。

幸福な生活は物体ではなく、数を記憶するような想起でもない。喜びを得ることによって得ることができる。アウグスティヌスはその喜びを真理に求めた。真理を愛し、人間は真理を求める。しかし、全然知らないものを愛することはできない。真理は経験においてしられないとしても、記憶の中で、理念として存在する。この、記憶を超えた場所に神がいると考える。

6、真理=神

記憶のうちに神をさがし、忘却論、幸福論、真理論まできて、人間は真理を喜ぶという結論から、真理そのものは神であると考えるに至った。自分自身を超えるものとして神を見出した。真理は経験において知られないとしても、自己意識の記憶の中で理念として現存する。理念は記憶の中に住むが記憶に属さず、記憶を超えた場所にある。

加藤が「神を空間的な場所を通じて考えるのではなく、時間を通じて「永遠」にかかわる問題の中で考えるのがヨーロッパ神学の伝統である。[iv]」と述べている通り、神は記憶の内奥に存在するが、神は時間や空間を超越する存在であり、時間や空間的に動くのではないと考えは、ヨーロッパの神学、精神史に大きな影響を与えた。

神の場所が記憶を超えた場所にあるにあると得たアウグスティヌスは、次章で、自己を超えるものである神をどう探究したらいいかを考えすすめ、『告白』は神の記憶論から聖書解釈から引き出される時間論へと話が移っていく。

≪結≫

アウグスティヌスは『告白』の中において、神への愛を示し、信仰を深めるなかで、神の存在証明を探求していく。神の場所をまず大地や太陽などの外部に求めたが、そこには神はおらず、自分自身の精神の部分へと向かい、記憶の原野の最奥に、記憶を超えた先に神の場所が存在するという結論にたどりついた。

経験によって得られるイメージからなる記憶、数などの概念的記憶、忘却の記録などの先に、我々は神の概念を部分的ではあるが、日常的に経験している。我々が経験したこともないのに求めている完全な幸福と、神の類似性をもとに探究していったアウグスティヌスは真理が神であるという考えに至った。


≪参考文献≫

聖アウグスティヌス『告白(下)』服部英次郎訳 岩波文庫 1976年
加藤信朗『アウグスティヌス『告白録』講義』 知泉書館 2006年
富松保文『シリーズ・哲学のエッセンス アウグスティヌス〈私〉のはじまり』 日本放送出版協会 2003年

 


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