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フランス文学 西洋哲学

西洋哲学史Ⅱ デカルト『省察』における神の存在証明はどのように知られるか れぽーとその2

投稿日:2017年11月4日 更新日:

西洋哲学史Ⅱ デカルト『省察』における神の存在証明はどのように知られるか

というタイトルのレポートの続きになります。


2、明晰判明な観念からの神の存在証明

3つの命題にて知りえたものは「わたし」の存在のみであり、一切疑いをもっても、「私」の存在だけは無とすることができない。しかし、デカルトはここから神の存在証明へと展開をすすめていく。神の存在に客観的真理を見出すために神の存在証明を進めていった。

彼によると、観念とは生得観念、外来観念、作為観念に分けられ、生得観念とは、つねに明晰判明な観念であるとした。先の「われ考えるゆえにわれあり」や、「神は完全者」であるということも明晰判明な観念である。

我々は不完全者なので、明晰判明な観念を自分の力で中に作り出すことができないので、生得的、先天的なものとデカルトは考えた。たとえば、無限の観念は有限なわれわれには経験によって無限の観念を作ることが不可能である。本人の持つ知識またはその人物に観念をさずけた他者の知識を持たなければ不可能である。ならば、無限という、神の観念をさずけた存在は何か、「神の観念は神自身を原因とする」デカルトはそう結論付けた。

 

3、神はなぜ目に見えないか、

中世の神学者アウグスティヌスが、神は広大な記憶の内室に神の屋代がある、神は外的世界ではなく、我々の記憶の中にいると『告白』の中で神の存在証明を論じているが、それに対してデカルトは、神がなぜ目に見ることができないかという答えを身体の内外ではなく、有限と無限で論じている点に特徴がある。

不完全者である我々の精神は有限であり、それにたいして神は不可解で無限な存在であり、有限である私によっては把握されないというのが、無限なものの本性だから私がどうやっても神のうちを把握できないと考えていた。

 

4、神という観念をいかなる仕方で神から受け取ったか

次元の違いにより神を見ることができないと考えたデカルトは、では神という観念を、我々はどのような方法で神から受け取ることができたのかという問題の推論を進めていく。

自分の性質より完全な性質を考える能力をどこから得たかと自問してみるとき、神に会うという経験をしていないのだから、教え込まれたものでもない。みたこともないものを人為的に作り出すこともできない。神に関する知識は先天的であると考えた。このような観念を我々に植え付けることができるのは完全性を自己のうちにもつ存在である神のみであると結論付けた。

 

 

≪結≫

デカルトは明晰判明に事実と認識できる数少ないもののひとつとして、神の存在証明を展開したが、懐疑により、神の存在が見えないのは我々が有限者であり、神は無限者である故と考え、完全者である神の存在をどうやって知りえたかという問題は、有限者である我々が無限者を知り得るには、無限者による植え付けがなければ不可能だと結論付けている。

しかし、デカルトによる神の存在証明は疑問をはらんでいる。神の概念が生得観念であるとすれば、神の概念がない異民族の存在についてはどのように説明づけていけばいいのだろうか。

デカルトの生きた17世紀は、大航海時代を経て、ヨーロッパ世界が広がっていった時期でもあるが、異民族に関しては同じ人間としての観点を持っていなかったのではないだろうか。

デカルトの考えはパスカルを中心としてのちの哲学者たちに大きな影響を与え、デカルトが不満を持って述べた「従来の形式的な哲学になりさがったスコラ哲学」にかわる近代哲学の幕開けを担った人物である。

彼の神の存在証明はヨーロッパ中心主義の域を抜け出られなかったが、のちの時代の哲学者たちにも大きく影響を与えており、彼の省察を理解する意義は大きいといえる。

 


≪参考文献≫

シュヴェーグラー『西洋哲学史 (下巻) 』谷川 徹三・松村 一人訳  岩波文庫1958年

ルネ デカルト 『省察』山田弘明訳 筑摩書房 2006年

斎藤 慶典『デカルト―「われ思う」のは誰か (シリーズ・哲学のエッセンス) 』日本放送出版協会 2003年

『世界文学大系第13デカルト・パスカル』筑摩書房、昭和23年

 

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